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対談 みらいの漁業を考える -環境や観光振興など 総合的な対策が必要-

齋藤御津久さん 東安房漁業協同組合副組合長

Q 齋藤さんは、東安房漁業協同組合の副組合長として、まさに鴨川の漁業の最前線にいらっしゃいます。今の漁業が抱えている課題についてどう捉えていますか。

A まず、後継者不足っていうのが一番に思い浮かぶところですね。 それと、ここに限ったことじゃないんですが、温暖化などの影響ですかね、水温の上昇などだと思うんですが、魚が以前より獲れなくなったというのが一番ですね。
現実問題で言うと、色んな経費が増えていて、そこら辺も計算し省エネのことも考えつつ、色々やっている状況ですね。昔のようにただ魚を取ってきて水揚げしたら食っていけるっていうそういう時代じゃなくなっています。

Q 漁獲量が減っているのは問題ですね。

A 価格自体はある程度安定しているんだけども、量自体が少なくなっています。価格が安定している割には、取れる量が少なくなってしまって。

Q 原因としてどのようなことが考えられますか。

A 磯焼けがひどいですよ。磯の海の中が砂漠状態で、もう海草も何もない砂漠のような状態になっちゃって、当然稚魚やそこにつく貝とかそういったのは、もうまるっきり壊滅状態です。
ごみなんかもあるんですが、川から出てくる水の影響なのかわからないですが、そういった環境面での対策も必要だし、台風なんかで集まったごみを処理しようとすると、すぐに処理できないような行政の壁みたいのが出てきますね。
そこいらあたりを、しっかりマニュアル化するなどしてもらえると助かるし、結局それが海を守ることにつながると思います。

Q 最初のお話にあった後継者不足というのも、魅力ある漁業になっていかないと後継者も育たないということですね。

A そのとおりですね。そういった意味では、漁業だけを考えるんじゃなくて、観光客の誘致などと一緒に、それこそ総合的に考えることも必要だと思います。

Q 総合的な「海業」という概念で漁業振興策を展開することも必要ですね。

A 東安房漁協直営の活き活き小湊ウオポートは開業してだいぶ経つんですが、今は大型バスなども来なくなってしまって、昔と比べたら、お客さんが来なくなってしまって。何とか維持したいと思っています。ただ、誕生寺や鯛の浦を見ていてもお客さんがそれほど昔のように来ている風には見えないんで、いろんなところがうまく連携をとりあってやらないと。
そうすれば、また違ってくるのかなと思いますけどね。

Q 以前の活気を取り戻すためにも、皆さんの力が一つになることが重要だと再認識しました。ありがとうございました。

環境や観光など総合的な対策が必要

齋藤さんのお話から、漁業振興には漁業だけでなく、観光や河川や河口の整備などの環境、地域振興を組み合わせた総合的な対策が必要だと強く感じました。
温暖化への対応として環境保護や資源管理、資源回復が重要であり、観光と連携した「海業」の導入も欠かせません。
また、漁業環境を守るために、国や県、市といった行政と連携した取り組みが不可欠だと実感しました。

 

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