井上隆太郎さん 農地所有適格法人株式会社 苗目代表
Q 鴨川にいらしたきっかけや目的などをお尋ねしたいと思います。
A 2014年から鴨川に通い始めました。以前からゆくゆくは農業をやりたいと考えていて、移住先を探していました。ところが、農業をやりたいと思ってもすぐにできない。農地を手に入れる方法も、農業の始め方もわからない。
そこで、いろんな場所で農業をやりたいんだけど、畑ありませんか?みたいなことを聞いて回りました。
いくつかの場所からお話があったのですが、鴨川が一番しっくりきました。都心から近く、豊かな自然がある。理想の場所でした。
まだ寒い2月に高速を降りた後の河津桜の景色を見て、素晴らしいところだなと思いました。
Q 実際に鴨川に移住されていかがですか。
A 鴨川の皆さんは皆すごくいい人ばかりです。ここを拠点に始めた事業も地域の皆さんのおかげで順調に続けています。
ここで働きたいという若い人も多く、この秋の募集では、20代から40代の若い方々が20人近く応募してくれました。
農業がやりたいとか、一緒に仕事がしたい、移住したいと言ってくれる人がたくさんいます。
ただ、今の私たちの力では全員を雇うことはできない、せいぜい一人か二人くらいなんです。
しかし、そんな若い人たちを一人でも多く受け入れられるような体制を作りたいと思っています。
Q それを実現するために必要なことは何でしょうか。
A 現状でも支援のメニューはあるのですが、手続きがとても複雑だったり、働き始める人にフィットした住まいがなかったり、移動の手段だったり、課題はたくさんあります。特に住まいに関しては、賃貸の集合住宅があると移住しやすいですね。そんな支援が充実してくると、ここで働き、暮らす人が増えてきて、地域のつながりも充実してくると思います。
新しく建てるではなく空いている物件の有効活用など。(住居は事務所、お店としても)
また、農地や物件を取得するのも難しいのですが、農地・物件をいかに活用するかが重要だと思います。
雇用を生み出すためには、”そこで何をするか”をしっかり考えて収益を生み出すことが必要です。シェアファームもその一つです。
人がつながるためのコミュニケーションの場も重要な要素だと思います。
Q レストランでは食材も地産にこだわっていると伺いましたが。
A 食材はほぼ地元産です。また、ここにあるハーブは100%鴨川産です。かなりの種類のハーブがありますので、オリジナルのハーブティーを作ることもできます。 地域の食に関する素材を有効に活用することにもこだわっています。
真の移住政策のカタチ
働きたいという若い人を引き付けている井上さんの哲学から学ぶことが多々ありました。
働きたいと思えるビジネスがあり、暮らしたいと思える環境があり、いろんな人と交流したい、繋がりたいという想いこそが、移住定住施策の根本にあることを実感しました。
そのために地域全体としてどのような政策が必要なのか、一緒に考え、行動することが必要です。